2017-08-15から1日間の記事一覧

ろ①:Lost in Translation

この作品をはじめて観たのは、地元のクラブ(*1)のバーカウンターだった。奥のフロアでのプレイに気を遣ってか、店内環境のためになのかは分からないが、映画はミュートされて映像だけが流れていた。国も世代も異なる、言葉のわからない主人公(*2)に…

れ①:檸檬

梶井の檸檬は素晴らしい。それへのオマージュである、長尾謙一郎が描いた『PUNK』内での檸檬型の爆弾はつまらない。長尾は好きだけれど、あれはいただけない。 檸檬は時折りぼくの頭のなかにぽこんと生まれる。それはわけのわからない涙と同様に、突然ぼ…

る①:流浪

歩くことが好きになったのは、大学を半期だけ留年して卒業した後に、春までのあいだがあまりに暇すぎて、それじゃあ歩いてみよう、と友人と共だって東海道をぷらぷらする機会があってからだ。 十二月の寒い時期に、寝袋とザックを背負って、横浜駅から西へ歩…

り①:リュックサック

小学校にもあがっていないくらいの小さな子どもたちが、リュックサックを背負ってとことこ歩いている姿をよく見かける。リュックサックは背負うものではあるけれど、あれらくらいに小さな子たちの背中で揺れているものは「背負う」というよりも「羽織る」と…

ら①:ライ麦畑でつかまえて

何度も読み返した本だ。『キャッチャー・イン・ザ・ライ』ではない。やはり『ライ麦畑でつかまえて』が良い。 はじめて読んだのは中三のときだったか。初読の感想はあまり覚えていない。けれども、それから高校で二度も読んだのだから、何かしらのつかえがあ…